
技術士に求められるコンピテンシーとは
コンピテンシーとは、簡単に言うと「実務を通じて発揮される力」のこと。知識だけでなく、どう行動し、どう判断し、どう人と関わるか——技術士には、こうした“実務力”が求められています。
技術士試験では、この「コンピテンシー」が筆記・口頭ともに評価の軸になっており、対策のうえでも欠かせないキーワードです。
この記事では、技術士に求められる8つのコンピテンシーをひとつひとつ紹介しながら、試験でどう問われるのか、どんな力が評価されるのかをわかりやすく解説していきます。
コンピテンシーとは?
「コンピテンシー(Competency)」とは、知識そのものではなく、知識を土台にして“行動や判断として発揮される能力”のことです。技術士試験の文脈では、「技術者として備えておくべき資質能力」という意味で使われています。
たとえば、「課題をどう整理し、どう解決策を導くか」「関係者とどう信頼関係を築くか」「責任ある行動をとれているか」——こうした実務に根ざした力が、コンピテンシーとして評価されます。
なぜ技術士にコンピテンシーが求められるのか?
技術士は「科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする業務」を担う国家資格。高度な技術力に加えて、チームをまとめ、社会的責任を果たす立場でもあります。
そのため、単なる知識の有無ではなく、総合的な実務能力=コンピテンシーが試験でも重視されているのです。
技術士に求められる8つのコンピテンシー
ここからは、技術士試験や業務で求められる8つのコンピテンシーについて、ひとつずつ紹介していきます。
1.専門的学識
自分の専門分野に関する幅広い知識と、それを実務に応用する力が求められます。加えて、日本固有の法令や社会的背景への理解も重要です。
たとえば、建設部門であれば、「構造や材料、設計、施工」などの技術知識だけでなく、「建築基準法や環境配慮に関する制度」なども理解したうえで、具体的な業務に活かせる力が必要です。
2.問題解決
現場で起こる問題には、コスト・安全性・納期・地域事情などが複雑に絡んでいます。それらを多角的に分析し、合理的な解決策を導き出すのが、このコンピテンシーのポイント。
「何が問題かを明確にする」「選択肢を比較し、最も現実的な手を選ぶ」など、実際に動ける“課題解決力”が試されます。
3.マネジメント
ここでのマネジメントは、経営的な意味合いではなく、限られた人員・時間・資金などのリソースをどう配分してプロジェクトを回すかという実務力を指します。
特に建設現場では、「どこに人を多く配置するか」「工程にムダがないか」など、現場の状況に応じた柔軟な判断と調整力が重要になります。
4.評価
技術的な取り組みの成果や波及効果を自ら振り返り、改善につなげていく力です。
たとえば「工程短縮の工法を採用したが、結果的に別の作業に負担がかかった」といった反省を次に活かせる人こそ、技術士にふさわしい存在だとされています。評価では、「新たなリスクの想定」や「代替案の効果分析」もポイントです。
5.コミュニケーション
技術士は、同じ専門家だけでなく、非専門のクライアント・住民・行政など多様な人と関わる職業です。それぞれの立場に合わせて、正確に、かつ分かりやすく説明・報告ができることが求められます。
特に最近は「包摂的(inclusive)な意思疎通」が重視されており、「わかりやすさ」「配慮」「双方向性」がキーワードになっています。
6.リーダーシップ
「みんなを引っ張る」というよりも、「関係者の意見を調整し、納得を得てまとめる」タイプのリーダー像が求められます。
発注者・地元住民・施工会社など、立場の異なる人の声を丁寧に聞きながら、技術的に妥当な案で合意形成を図るのが、技術士にふさわしいリーダーシップとされています。
7.技術者倫理
「安全」「健康」「環境」「法令順守」など、技術を扱う者としての責任ある姿勢を保つことが求められます。目先の利益や短期的な効率を優先せず、社会に対して誠実な行動が取れるかが問われます。
試験では、倫理的な判断を問うような設問が出されることもあります。
8.継続研さん(CPD)
資格を取ったら終わりではなく、常に学び続ける姿勢が必要です。新しい法制度や技術が次々と登場するなかで、過去の経験だけでは通用しなくなることも。
CPD(Continuing Professional Development=継続的職能開発)という考え方のもと、研修・学会参加・後進育成などを通して、成長を続ける姿勢が評価されます。
技術士試験ではどう問われる?
技術士試験では、これまで紹介してきた8つのコンピテンシーが、筆記・口頭の両方でしっかり評価されています。特に筆記試験では、それぞれの設問に対して「どの資質能力が問われているのか」が明確に設定されており、それを踏まえた解答が求められます。
筆記試験での出題と評価ポイント
たとえば、必須科目Ⅰでは、専門知識や課題解決能力に加え、評価や技術者倫理、そしてコミュニケーション力といった観点からの記述が重視されます。選択科目Ⅱでは、業務事例や応用能力をもとに、マネジメントやリーダーシップといった実践的な判断力も見られます。さらに選択科目Ⅲでは、複数の要素が絡む複合的な問題をどう捉え、どう乗り越えるかが問われ、実務経験のなかで培った問題解決力や評価力、コミュニケーション力がカギとなります。
口頭試験での出題と評価ポイント
一方の口頭試験では、筆記とはまた異なる角度からコンピテンシーを確認されます。これまで取り組んできた業務のなかで、自分はどう関わり、どう動いたのか。そこにリーダーシップやマネジメント力がどう表れているのか。関係者とどう意思疎通を図ってきたのか。倫理的な配慮がなされていたか。さらに、継続的な学びや自己研鑽の姿勢を持ち続けているか。こうした点を具体的に説明することが求められます。
まとめ
技術士試験で評価されるこれらの資質能力は、資格を取るためだけのものではありません。日々の業務のなかで、「この判断は本当に妥当だったか」「もっとわかりやすい伝え方はなかったか」「社会的な責任をしっかり果たしていたか」といった問いを自分に投げかけながら働くことが、自然とコンピテンシーを高めていくことにつながります。
全国に拠点を拡大し続けている
建設総合コンサルタント
静岡県浜松市に本社を置く株式会社フジヤマは、コンサルタント分野をはじめ、国土基盤(測量・調査)、空間情報(地理情報)といった3つの部門で構成されている建設総合コンサルタントです。国や自治体における建設コンサルタントの幅広い事業領域をワンストップで提供。地元はもとより、全国に拠点を拡大、成長し続けている企業です。

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