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技術士試験の「受験申込書」の書き方

技術士試験の受験申込書は、単なる“試験の申し込み用紙”ではありません。筆記試験や口頭試験にも深く関わる大切な書類です。

たとえば、申込書に記載した業務内容は、筆記試験の答案と照らし合わせて評価されたり、口頭試験の質問のきっかけになったりします。また、業務経歴の書き方次第では、技術士としての適性に疑問を持たれてしまうことも…。

この記事では、技術士試験における申込書の役割や基本的な書き方、特に重要とされる「業務経歴欄」のポイントについて、わかりやすく解説します。

書く前におさえておきたい、受験申込書の3つの役割

受験申込書を書くうえで、まず意識しておきたいのは「この書類がどんな目的で使われるのか」ということです。ただ経歴を並べるだけでは不十分。審査する側が何を読み取ろうとしているのかを理解しておくことが大切です。

受験申込書には、大きく分けて次のような役割があります。

① 受験資格を確認するための書類

もっとも基本的な役割は、「この人に技術士試験の受験資格があるかどうか」を判断することです。「実務経験が規定の年数あるか」「その業務が技術士法で定められた範囲に入っているか」といった点が、制度上の観点からチェックされます。

もし記載に不備があれば、そもそも試験を受けることができないおそれも。経歴の年数や業務内容は、客観的に判断できるよう丁寧に書くことが大切です。

② 技術的な経験・業務内容を評価するための資料

申込書では、受験資格を満たしているかどうかだけでなく、「技術者としてどんな業務に取り組んできたのか」も評価されます。なかでも、「計画・研究・設計・分析・試験・評価」といった、技術士法に定められた業務に該当しているかが重要なチェックポイントになります。

よくある誤解として、「調査」「開発」「解析」などの言葉をそのまま使ってしまうケースがありますが、これらは評価対象外と判断されることも。そのため、技術士法に沿った表現への言い換えや、補足説明を加えることが大切です。

③ 口頭試験での質問材料になる

受験申込書は、筆記試験だけでなく、その後に行われる口頭試験にも大きく関わってきます。

面接官は、申込書に記載された業務内容を事前に読み込み、それをもとに質問を組み立てます。たとえば、「この課題を選んだ理由は?」「なぜその解決策を選んだのか?」「得られた効果は狙いどおりだったか?」といったように、申込書の内容を深掘りされるのが一般的です。

つまり、申込書は“書いて終わり”の書類ではなく、“あとで自分が説明する資料”でもあるということ。記入の段階から、口頭試験までを見据えて準備しておくことが大切です。

受験申込書の書き方の基本

受験申込書は、「とりあえず埋めればいい」書類ではありません。それぞれの欄の役割を理解したうえで、丁寧に仕上げることが、合格への第一歩です。そのなかでも特に重要なのが、「経歴欄」と「業務内容の詳細欄」です。

基本情報欄(氏名・受験部門・専門とする事項)

氏名や受験部門については、特に迷うことなく記入できるはずです。ただし「専門とする事項」については、表現に少し工夫が必要になります。

この欄には、自分が専門としている業務内容を30字以内で記入しますが、実際には10~15文字程度で簡潔にまとめるのが一般的です。たとえば、「○○の構造設計」や「○○に関する耐震解析」など、受験する選択科目の内容と一致し、かつ具体的な業務内容と関連していることが求められます。

業務経歴欄

経歴欄は、通常5行で構成されており、それぞれに「勤務先・所在地・職名・業務内容・従事期間」などを記載します。

ここは、これまでの職務経験を一覧で示すパートですが、単なる履歴書ではありません。審査側が見るのは、「どこで働いたか」ではなく、「どんな技術的業務に取り組んできたか」という点です。

たとえば、「○○支店設計課にて、構造設計業務に従事」といった表現では、具体性に欠け、内容が十分に伝わりません。

重要なのは、「どんな立場だったか」ではなく、「どのような技術を活かし、どんな成果を目指したのか」。技術者としての取り組みをイメージできるような記述を心がけましょう。

また、履歴書のようにすべての職歴を網羅する必要はありません。最近の実務経験が重視される傾向があるため、直近の代表的な業務を1件ずつ丁寧に記述するのが理想的です。過去の実績よりも、“今の実力”が伝わる構成を意識しましょう。

業務内容の詳細欄

申込書のなかでも、最も重要なパートがこの「業務内容の詳細」欄です。業務経歴の中から1件を選び、720字以内で要点をまとめて記述する必要があります。

ここでは単なる業務紹介ではなく、技術士としての考え方や判断力が伝わるような内容が求められます。「読む相手はどう受け取るか?」「あとで自分は説明できるか?」という視点を持ち、丁寧に仕上げていきましょう。

記載内容は、筆記試験後の口頭試験でも繰り返し参照されるため、一貫性・論理性のある構成がとても重要です。内容が曖昧だったり論理に飛躍があると、本番の質問に対応しきれず、苦戦する可能性もあります。

業務内容の詳細欄を書くポイント

業務内容の詳細欄は、受験申込書の中でも合否に大きく影響する重要なパートです。読み手(試験官)にしっかり伝わる構成と書き方のコツを紹介していきます。

推奨される構成

業務内容の詳細欄を書く際は、次の5つの要素を軸に構成すると論理の流れが自然になり、読みやすさが向上します。

  1. 目的:その業務で目指したゴール、何のための取り組みだったのか
  2. 立場と役割:自分がどのような立場で、どこまで関与していたのか
  3. 技術的内容と課題:業務中に直面した技術的な課題や困難
  4. 解決策:その課題に対して、どんな技術的判断や工夫を行ったか
  5. 成果:その結果、得られた効果や改善点、定量的な成果など

この順で書くことで、「なぜその業務が重要だったのか」「どんな判断をしたのか」「成果はどうだったのか」が自然と伝わる構成になります。

書く内容は「職務」ではなく「技術経験」

よくあるミスが、「職務紹介」にとどまってしまっているケースです。「○○課で○○の責任者として従事」と書かれていても、技術者としてどんな判断や行動を行ったかまでは伝わりません。

評価されるのは、「どんな課題に対して、どう判断し、どう取り組んだか」という点です。

自分の技術的な考えや実際の行動が具体的に伝わるように書くことで、「技術経験」としての評価につながります。

特に「解決策」は具体的に

このパートの中で最も文字数をかけるべきなのが「解決策」の項目です。単なる理想論や結果論ではなく、現実の制約の中でどう判断し、どう工夫したかを具体的に示すことが重要です。

たとえば「最適な工法を選定した」だけでは情報が足りません。

「地盤条件に応じて○○工法と○○工法を比較検討し、コスト・施工性・安全性の観点から○○工法を採用した」など、判断の根拠や比較の過程がわかる記述が望まれます。

「成果」は定量的に示せると強い

成果の表現も、「改善できた」「スムーズに施工できた」といった抽象的な表現にとどめるのではなく、可能なかぎり数値で示すのが効果的です。

たとえば、「洪水調整容量の増加により、流域全体の浸水被害想定を30%低減できた」「従来工法と比べて施工期間を約2週間短縮し、コストも約15%削減した」といったように、成果の大きさや効果を明確に示すことで、技術的判断の有効性が裏付けられます。

よくあるミスやNG表現

職務の説明だけで終わっている

たとえば「○○課で主任技術者として従事」と書かれていても、それは肩書きや配属先の紹介にとどまっており、技術士として必要な「判断力」や「実務能力」は伝わりません。

申込書では、「どんな技術的課題に向き合い、どう判断し、どんな行動をとって、どんな成果を出したのか」を具体的に記述することが重要です。形式的なポジションではなく、技術的に何をしたのかが評価の対象になります。

「開発」「解析」「調査」といった表現をそのまま使っている

技術士法では、技術士に求められる業務として「計画・研究・設計・分析・試験・評価」が明記されています。そのため、「開発」「解析」「調査」などの表現をそのまま使ってしまうと、評価対象外とみなされるおそれがあります。

これらの用語を使う場合は、「開発における設計」「調査結果をもとにした評価」といったように技術士法に沿った言い換えや補足を行いましょう。

成果や効果が抽象的すぎる

成果を伝えるとき、「効果を得られた」「業務が円滑に進んだ」といった抽象的な表現だけでは、どれほどの成果だったのかが伝わりづらく、説得力に欠けてしまいます。

たとえば「コストを10%削減」「納期を2週間短縮」「作業時間を30%短縮」といったように、数字で具体的に示すことで、成果の大きさがより明確になり、読み手の納得感も高まるでしょう。

「専門とする事項」と業務内容に整合性がない

「専門とする事項」が「橋梁設計」となっているのに、業務の詳細では「地質調査」や「メンテナンス」が中心になっている…というような内容のズレが見られるケースもあります。

申込書では、「専門とする事項」と「業務内容」の間に一貫性があることが求められます分野が食い違っていると、「業務内容を正確に把握できていない」と見なされてしまう可能性もあるため、内容のつながりには十分注意しましょう。

受験申込書を書き終えたあとにやること

「口頭試験の視点」で読み直す

受験申込書を書き終えたら、それで完了…ではありません。口頭試験での質問を意識して、あらためて読み直すことが大切です。

なぜなら、申込書に書かれた内容は、口頭試験の土台そのものとして使われるからです。評価のポイントになったり、質問のきっかけになったりと、面接官は申込書を手がかりにしてあなたの理解度や経験を探ります。「どんな経験をしたのか」「何を考え、どんな工夫をしたのか」といった内容は、すべて自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

また、口頭試験では、ただ業務内容を確認されるだけでなく、あなたの判断の根拠や、背景にある考え方まで踏み込んで聞かれることがあります。たとえば、次のような質問を想定しておくとよいでしょう。

こうした問いに対して、根拠を持って自信を持って答えられる状態にしておくことが、合格への近道です。

第三者の添削を受ける

どれだけ丁寧に書いたつもりでも、「これで本当に伝わるだろうか?」「読み手に誤解されないかな?」と、不安に感じることもあるかもしれません。そんなときは、信頼できる第三者に添削を依頼するのがおすすめです。

申込書の内容は、「正確に伝えられるか」が重要です。とくに「業務内容の詳細欄」は専門性が高く、自分では自然に思える表現でも、他の人には曖昧だったり、論理の流れが不十分に見えたりすることもあります。

添削をお願いする相手は、可能であれば同じ分野の先輩技術士が理想です。身近にいない場合は、信頼できる上司や技術職の同僚でも構いません。また近年では、通信講座や受験対策講座で添削サービスを提供しているケースも増えています。第三者の客観的な視点で細かな修正や改善点を指摘してもらえるので、こうしたサービスを活用してみるのもよいでしょう。

まとめ

受験申込書は、「ただの申込書類」ではありません。これまでに取り組んできた技術的経験を、自分の言葉でまとめ、「私は技術士としてふさわしい存在です」と最初にアピールできる場です。

試験の準備というと、どうしても筆記や口頭試験の対策に意識が向きがちですが、申込書がすでに“第一の試験”であり、“面接の土台”でもあることを、忘れないようにしましょう。

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